102号室<青シュミットくんの部屋>


『出会い編』

シュミットKRは、1950年代にドイツで作られた3輪自動車メッサーシュミットKR200を英国トライテック社がほぼ忠実に再現したレプリカ車です。 ボディーはFRP、エンジンはホンダ製250ccスクーター用、油圧ブレーキを装備し、現代の道路状況下でも安心して乗れる事を目的に作られました。
2000年4月に英国に発注してから待つこと10ヶ月、2001年の2月についに私の青シュミットくんは納車されました。

でも、さて、いったい、私はどうしてこんなヘンなクルマを飼うことになってしまったのでしょうか?

きっかけは…


2000年の秋のある日、なにげなく雑誌を見ていたらある広告が目に入りました。"Corofi"という聞いたこともないお店の広告なのです。でもその広告のキャッチフレーズはとても印象的でした。

【現代に甦った虫たち】
少年の日の思いでの中にいた虫たちが強力な心臓(エンジン)を手に入れ、今に甦りました。新設計、生産された虫たちは高い耐久性、安全性、信頼性であなたの夢を叶えます。遠い日の憧れを現実に。

「ふ〜ん…ヘンなクルマ…」と思いながらもその広告を読み続けていました。メッサーシュミットというドイツの戦闘機の事は知っていましたが、3輪自動車の事はあまり詳しく知りませんでした。でもこの時私はすでにこの広告の『呪文』にかかっていたようです。

この頃私は趣味で大型バイクに乗っていました。休日になると子供を後ろに乗っけてツーリングに出掛けてましたが、2人乗りでのツーリングには幾つかの問題点がありました。



まず高速道路は2人乗りでは走れない事(一般道路よりは遥かに安全性が高いのにです)。天候などの変化に絶えず気をくばる必要がある事。そしてこれが一番の問題点だったのですが…帰り道で子供は気持ち良くなってかならず居眠りをするのです。バイクの後部席で船を漕いで居眠りされることがどれほど恐ろしいことか…(^^;

もちろん[虫たち][遠い日の憧れを現実に…]とかいう甘い言葉にも十分に気をひかれたわけですが、それ以上に[高速道路を2人乗りで、天候の変化を気にすることもなく、たとえ後部席で子供が居眠りしていても絶対に大丈夫。]って事の方がもっと大きな魅力でした。

「でも…それにしても…ヘンな顔した…ヘンなクルマだな〜(^^;」
とりあえずコロフィーというお店にカタログを請求してみました。

魔法にかかった…


美人は三日で飽きるが、ブスは…』ってまさにこのクルマのことでした。「メッサーシュミットっていったいどんな車なんだろう。」という疑問にはじまり、いろいろ調べているうちに、いつのまにかこのヘンなクルマの魅力に嵌っていました。
始めたばかりのインターネットでさらにいろいろ検索してみると、PULSEさんという方のHPには本物の「メッサーシュミットKR200」の事が、じみぃさんという方のHPには「シュミットKR」の事が詳しく出ていました。読んでみて分かった事は「本物は40年も前のクルマで部品の調達や修理とか…飼うにはそれなりの覚悟がいる」という事。それに対して「レプリカは現在のエンジンを積んでいるのでメンテナンスが楽だし、なによりも代理店が国内にあるのだからいざとなったらちゃんと部品供給や修理もしてもらえそう」ということでした。
少し前から私のおかしな行動に…妻は気付いていたようです。4月のある日ついに見かねたのか「どうしても飼いたいんだったら…飼ってもいいよ。バイクよりも安全そうだし…。なんだか愛嬌のある可愛い顔してるし…。」というお言葉を頂きました。まさに「火に油を注ぐ」とはこのことでした。

この言葉を聞いてからは居ても立ってもいられずに…週末の早朝には乗ってました…コロフィーさんのお店に向かう新幹線に(^^;

シュミットくんのおいたち…


「コロフィー」というお店はバイク好きの榛葉さんが御夫婦で切り盛りされている、こじんまりとしたサイドカーのお店でした。(現在は場所が変わって、大きくてりっぱなお店になっているそうです。)榛葉さんは大のバブルカーマニアだそうでドイツのストーリ村で行われた「マイクロカ−国際ミーティング」にも御夫婦で参加されたそうです。
シュミットKRはそんなバブルカーマニアの榛葉さん御自身が、日本国内で乗るために開発されたのだそうです。
「トライテック社」はもともとメッサーシュミットやイセッタのレプリカ・キットカーの製作や販売を行っていた英国の零細工房だそうです。トライテック社の優れたFRP等の製作技術に目を付けた榛葉さんは、トライテック社に対して本業のサイドカー製作で得た経験や技術を提供し、また耐久性信頼性の高い日本製エンジンを国内から英国へ輸出供給することによって、1950年代のメッサーシュミットのフォルムはそのままで、現代の日本の道路状況に十分適応した新車『シュミットKR』を開発しました。とくに国内向けのシュミットKRには、エンジンフードにエアインテークを設けることでエンジンの冷却効率の向上をはかる、安全性の為に強力な油圧ブレーキを装備する、電動モーターで駆動するバックギヤを装備する(本物は2サイクルなのでエンジン逆回転でバック出来ますが、シュミットは4サイクルなのでそのままではバックが出来ないのです)などといった改良が加えられています。

誠に残念な事なのですが、コロフィーさんでの「シュミットKR」、「ゼッタ」、「ローマックス」等の3輪自動車の取り扱いは2003年10月で終了しました。

まちどおしい…


榛葉さんから、シュミットについていろいろお話を伺っているうちに…すでに購入の意志はしっかりと固まっていました。その場で注文書にサインをして帰るつもりだったのですが…榛葉さんから「おうちに帰られてから、家族の方ともう一度よく相談して、それでも購入の意志が変わらなかったらこの注文書を送ってきてください。」と言われました。(あとで知ったのですが、じみぃさんもその様に言われて注文書を渡されたそうです。趣味の世界の特殊な車ですから…当然と言えば当然なのでしょうか(^^;)

シュミットはお店にある在庫車両以外の色を希望する際には、受注生産での完成車両の輸入待ちとなっていました。受注生産の場合は自動車用の色見本にある色であればどんな色でも注文することが可能でした。私は色々と思い悩んだあげく「どうせレプリカなんだから…本物に無いような色にしよう!」と考え、当時の愛車であった[大型バイク]と同じような配色を、それもコロフィーでは一度も発注された事がないというメタリックカラーポルシェカラーゼニスブルーアークティックシルバーツートンカラー)でお願いしました。

そこからは納車までは本当に待ち遠しくて待ち遠しくて…シュミットくんのことで悶々とした日々を過ごしました。その間に…メッサーオーナーの方のお家を訪問したり、メッサー関連のネットの掲示板に書き込みをしたり、シュミットくんのプラモデルを作ったり、資料やミニチュアを集めたり…ああ待ち遠しい。

そして11月中旬にはついに…完成した車両が船積みされて日本に向っているとの連絡が(^^)/

夢にまで見た御対面〜


12月中旬に青シュミットくんは横浜港へ入港し、そのままコロフィーへ搬入されました。待ち切れなくなった私は、妻とクリスマスイブの日にコロフィーさんのお店まで青シュミットくんを見に出掛けました。
青シュミットくんは整備台に載せられ、榛葉さんの手で日本仕様へと改良整備されている最中でした。シュミットの事でいろいろと相談に乗ってくださったじみぃさんもお店にまでわざわざ遊びに来てくださいました。青シュミットくんにも会えたし、じみぃさんにも御会いできたし…ひさしぶりに満足な時がすごせました。
新規での軽自動車登録となるために軽自動車協会への書類の提出や予備検査と…その後も納車まで榛葉さんはいろいろと御苦労だったようです。

ついに我が家にやってきた〜(^^)/


2001年2月2日、その日はわたしの誕生日でした。冷たい小雨の降る夕方頃、青シュミットくんは榛葉さん夫婦が運転する積車の荷台に載せられて我が家にやって来ました。まさに最高の誕生日プレゼントとなりました。榛葉さん、本当にありがとうございました!

予備検査は付いているのであとは管轄の軽自動車協会に書類を持って行って、ナンバープレートを貰ってつけるだけです。そうすれば晴れて公道を走れるのです。

 「さてさて、この後どのようなシュミットライフが待っているのでしょうか?」

『出会い編』完

<青シュミットくんの部屋>
『いざ出撃!』 『青くんのメンテ日記』

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